©shutterstock
容リルートにおける2023年度上期のPETボトルの落札結果の詳細が3月3日、公表された。落札平均単価は-60.4円/kgと前年度下期のおよそ半値まで下落(容リ入札は逆有償が前提なので、有償取引はマイナス表示。便宜上、高低の表現は有価物を前提として記す)。22年下期に過去最高値に乗せた後、大幅な落ち込みとなった。ボトルtoボトル(以下、BtoB)向けの原料確保に向けた駆け引きが続き、今後増設が見込まれる西日本で最高値が付くなど、今後の展開を予兆する結果でもあった。
2023年上期の入札にかけられたPETボトルは、全国の自治体が収集後に集められた指定保管施設797ヵ所で計11万2,426トン。前年同期より5,694トン減っている。PETボトルの再商品化事業者としては、44社が登録していた。このうち37社が落札し、1社あたりの平均落札数量は3,039トンだった。
ちなみに前年度同期に比べると1社増えて1社減った。リサイクル東北㈱のPETボトル再商品化工場(山形県米沢市)が登録から抜け、GRNエコサイクル㈱の北陸センター(石川県白山市)が新たに登録したためである。
この23年上期に落札数量が多かったのは、①遠東石塚グリーンペット㈱ が2万9,828トン、②西日本ペットボトルリサイクル㈱が1万6,518トン、③ウツミリサイクルシステムズ㈱が1万3,666トン、④ジャパンテック㈱が1万1,888トン、⑤㈱エフピコが5,998トン。①と④はBtoBをメインにする事業者だが、②③⑤はシートや繊維向けといったリサイクル手法が中心だ。今回は、BtoB以外のリサイクル手法の再商品化事業者が巻き返したといえる。ただ、西日本ペットボトルリサイクルは別項のように、ボトル向けの原料供給も視野に入れた動きをみせている。
ところで公正取引委員会が2月8日、PETボトルのリサイクルにおける実態調査に乗り出すことを表明したが、容リルートにおける寡占化の傾向は、問題になりうるのだろうか?
BtoBリサイクルの比率が急上昇した2019年度以降、落札数量の上位トップ、3社、5社、10社の比率の推移をみると、確かにシェアは上昇傾向にあり、寡占化が進行しているといえる。
だが、それでも2023年上期におけるシェアは、1社で26.5%、2社で41.2%である。一方で、独占禁止法では、独占的状態を「1社の事業分野占有率が50%を超えるか、又は2社の事業分野占有率の合計が75%を超えることを要する」と定義している。廃PETボトル回収量の市場規模が64万トンであることを加味すると、容リルートの上位1社あるいは2社でのシェアはより薄まるであろう。
…
この記事は有料会員記事です
▼残りの52%を読むには、会員登録が必要です▼
この記事は有料サービスをご契約の方がご覧になれます。
契約されている方は、下記からログインを、
契約されていない方は無料トライアルをご利用ください。
2023年09月22日【リファインバースグループ】今年度末完工予定の三菱ケミカルの油化設備へ廃プラ供給ケミカルリサイクル向けの前処理をあおぞらが担う
2022年08月30日【容リ下期速報】PETボトルの落札平均価格が115円/kgにバージン市況軟化の中、過去最高値を更新 FREE
2023年01月23日【東京23区】全区でプラスチック脱焼却へ、プラ新法後押し 一括回収のモデル実施、残す3区でも検討進む
2023年02月28日【容リルート入札結果速報】PETボトルはバージン安で、半値近くまで下落初の一括回収のプラスチック入札は処理費上昇 FREE
2023年08月21日【欧州のELV(廃自動車)指令改正】 自動車のプラ再生材利用25%を義務化へ 日本から対欧州向け輸出車・部品にも影響
2023年09月28日 コラム
奈良の地で創業した三洋商事とは以前から交流がある。元々はポイント回収の取材を続けているうちに、「奈良で面白いポ[...]
2023年09月22日 コラム
近所の小学校ではPTAがアルミ缶回収を行っていて、決められた日に子どもが各々、袋に詰められた空き缶を持って行く[...]
2023年09月15日 コラム
周知のとおり、日本の廃プラリサイクルはサーマルリサイクルが62%を占めており、数量にして510万トンの廃プラが[...]
2023年08月28日 コラム
歴史的な円安進行にも関わらず、衛生用紙の輸入量は一定の量が継続している。衛生用紙とは、ティッシュ・トイレットペ[...]