2022年5月1日 PJコラム 

【コラム】遠き海に想うはかなき命と資源

PJコラム

 東北を訪れる機会があった。現地の人と話していると、知床観光船の遭難事故はコロナ禍と地続きだという。つまりこの2年間にレジャー産業が大きな打撃を受けた。経営難で熟練の人材が離れ、運営企業も無理な経営を強いられている。起こるべくして起こった事故だということなのだ。他責にしがちな市民感情も、社会を構成する我々もその責任の一端があるとも言っていた。不条理な自然災害を乗り越えてきた東北の方々の言葉がずしりと響く。

 サーキュラーエコノミーを推進する英エレン・マッカーサー財団の創設者のことを調べていたら、彼女は元ヨットウーマンだった。2005年に世界一周の単独航海で71日間の新記録を樹立。後に英国からDame(デイム)の叙勲も受けている。だが、なぜヨットの選手から環境活動家に転じたのか?

 彼女は約3ヵ月間の航行を前に、必要な食料、燃料、衣類や装備を準備しなければならなかった。陸上から何千キロと離れた海上では、持ち合わせたものだけが頼りであり、生死をも左右する。一艘のヨットだけではなく、世界そのものが有限な資源で成り立っていることをこのとき身をもって知ったのだ。

 2010年に同財団を設立し、チャリティー活動などを展開してきたが、2016年に発表したレポート「The plastic economy」がプラスチック汚染の危機を訴え、世界に衝撃を与えた。2018年のダボス会議では彼女の意志に賛同するグローバル企業11社が持続可能な容器包装に替える宣言を行った。これまで国連やWWFとも連携し、プラスチック資源循環においては同財団の指針が大きな影響力をもち、世界標準となりつつある。

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