【環境エネルギー】
油化技術を触媒で高収率化、石油化学大手と提携
認証制度など付加価値を高めるルールづくりも提唱

環境エネルギーの実証プラント外観(広島県福山市)

 廃プラスチックの油化事業を手がける環境エネルギー株式会社(本社:広島県福山市、野田修嗣代表取締役)は、大手石油化学メーカーと手を結び、各地で量産プラントの立ち上げを目指す。2000年代から本格化した油化技術に同社は再び着目し、触媒を使って分解する手法で高収率化・低コスト化を実現した。普及の壁となってきたコストの高さも、再生プラの認証制度などを確立することで「環境価値」が認められれば、財源を確保できるとともに、通常の数倍の価格帯で売り出すことが可能とみる。野田社長に最新の油化技術とともに普及に向けた仕組みづくりを聞いた。

油化技術の実証データを蓄積

 「面白いことやってるね」。野田社長が廃プラスチックの油化技術に興味をもったのは、友人が手がける事業への好奇心からだった。その事業を引き継ぐことになり、環境エネルギーを立ち上げたのが2007年のこと。野田社長には化学の素養があったわけでなく、実家は木材問屋だったり、大学も文系出身だったことから、化学とは無縁だった。

 廃プラの油化技術は、古くて新しい技術だ。古くは1970年のオイルショック時に注目され、2000年には札幌市で東芝製の本格的なプラントが立ち上がった。当時は最先端だったが、不採算などの理由から撤退。その後、空白期間が続いた中で、野田社長も「なぜ今、油化なの?」と訝しく見られることも少なくなかったという。だが、将来的な不確実性を顧みず、新技術に磨きをかけることがベンチャー企業の真骨頂である。

 同社に勤めていたエンジニアの縁があって、2013年に広島県福山市に本社と実証プラントを構えた。油化技術を検証するため、実験に基づいたデータやノウハウを積み上げてきたことが、ようやく日の目をみつつある。今年5月には、出光興産と実証プラントの検討に関して合意した。出光興産の千葉事業所で、年間1万5千トンの廃プラを油化する装置の設置を検討している。また6月には韓国の財閥であるSKCとも廃プラの油化の大規模事業化 を目指し、基本合意契約を締結した。

 石油化学メーカーにとっては自前の石油のコンビナートを備えるが、油化技術といったケミカルリサイクルを実装するには時間を要する。社会のニーズを捉え、スピーディに事業を進めるために、同社のようなベンチャーと組むほうが早いというわけだ。「日本に留まらず、各国で油化技術の導入をきっかけに、プラ循環の仕組みを変えていきたい」と野田社長は意気込む。

触媒技術で収率向上

 同社の事業領域は、①油化事業、②バイオ燃料事業、③プラント事業の3本柱。②のバイオ燃料事業は、2019年からNEDO事業を受託し、廃食用油を使ったバイオジェット燃料の技術開発を行ってきた。③プラント事業は、汚泥やおから、木紛などの粉体を乾燥させる気流乾燥機がメインで、食品メーカーやきのこ製造メーカーなどに導入事績がある。機械プラントは、設計と設置を同社が担い、製造は他社に委託する形だ。

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