守山サーキュラーファクトリーの外観
グンゼ㈱(本社=大阪市)は、このほど守山工場(滋賀県守山市)内に、「守山サーキュラーファクトリー」を竣工し、報道陣に公開した。同施設はシュリンクフィルムの生産能力を増強するとともに、リサイクルセンターを併設し、生産工程から排出されるプラスチック端材や不良品を再利用。全て資源循環させることで、2024年までに守山工場の生産工程から出る廃棄物ゼロを目指す。破砕機や積層フィルム分離のテストプラントを順次設け、2027年度の完成形までに総投資額は95億円を見込む。
守山工場はJR琵琶湖線・守山駅から西へ車で約15分の場所。工場敷地面積は7万3404平方メートル。同工場ではシュリンクフィルム、OPPフィルム、そして半導体加工用の多層シートの製造を行ってきた。
守山サーキュラーファクトリーは2階建てで、延べ床面積1万786平方メートル。ラベル用シュリンクフィルムの生産能力を増強したが、生産能力は非公表。また2026年までに本格稼働するリサイクルセンターを併設して資源循環型の生産ラインに転換するとともに、太陽光や地熱のエネルギーを活用し、CO2排出量を抑制したところに大きな特徴がある。工場の最終形が完成するのは2027年度で、総投資額は94億9400万円を見込んでいる。
生産ラインはほぼ自動化し省人化し、「ごみゼロ」達成のための工夫が盛り込まれている。例えば、製造の条件設定を人の手を介さず機械による最適な調整により効率化、また従来は2人で作業していたフィルムの仮巻きを自動化し精度を高めたことで端材や不良部を減少させた。
またフィルム屑の発生時、従来は床に落として、そのまま廃棄していたものを、汚れなどの付着を防ぎながら回収し再利用に回すようにしている。守山サーキュラーファクトリーの生産能力は旧ラインの1.3倍だが、こうした生産性向上により端材や不良品の発生を抑えるとともに、リサイクル性も高めている。
同社はフィルム工場を海外の米国、中国、ベトナムに設けているが、今回、新設した守山サーキュラーファクトリーをモデルとして、いずれ海外工場にも展開する。同社は2030年までに、使用原料を100%リサイクル原料やバイオマスなど循環型原料に転換する方針も掲げており、同工場ではその実現に向けた取組みも加速させていく。
守山サーキュラーファクトリーに併設するリサイクルセンターでは、1)同工場から排出されたプラスチック廃棄物の再資源化、2)福島や神奈川の工場から出た積層フィルムのテストプラント設置、3)全国の他企業・工場などで発生するシュリンクフィルムの受け入れを主に行っていく。
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