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公益財団法人日本容器包装リサイクル協会がHP上において、今年度の容リ法にもとづく再商品化事業の落札結果を公表した。対象はPETボトル、紙製容器包装、ガラスビン、プラ製容器包装の4品種。紙製容器は、内外の需要低迷から2年連続の逆有償。PETボトルは乱高下しており、昨年度下期を底に有償による落札価格が回復。また今後の法改正によって、容リプラのルートに製品プラスチックが一括回収する仕組みが導入される。注目の容リプラは処理委託費も上昇し、落札数量も増えた。
図表中で落札平均単価がマイナス価格で表記(文中は▲表記)しているのは有償取引のことで、落札事業者が容リ協会から買い取りを意味する。一方、正数での価格表記は、逆有償取引を意味し、容リ協会が落札事業者に処理費を払って処理を委託するもの。容リルートはもともと処理委託が前提であるためだ。
ちなみに20年度の実績はコロナ禍で食品・飲料の巣籠もり需要が伸び、容リ対象物でも市町村からの引き取り量が増えた。前年に比べてPETボトルで4.7%増、プラ製容器包装で4.1%増、ガラスびんで2%増だった。紙製容器だけは2.2%減だった。契約量(落札数量)を上回る品種もあり、PETボトルが3.9%増、プラ製容器が2.6%増だった。今年度も全ての品目で落札数量が前年度を上回った。
今年度、紙製容器の平均落札単価はトンあたり16円。2年連続の逆有償価格となった。落札数量は2万1280トンで前年より674トン増えた。年々減る傾向にあったが、11年ぶりの増加となった。
紙製容器は、分別収集を実施する市町村も限られ、主要3市だけで全体の58%を占める。①名古屋市が6311トン、②相模原市が4484トン、③旭川市が1550トンだった。対前年増減はそれぞれ127トン増、534トン増、50トン減。選別後、製紙原料用途と固形燃料用途に分けられるが、製紙向けでは、メーカーによる調達価格が予め交渉によって決まる。今年度はキロ5円前後とされ、前年度から横ばい。
今年から中国向けの#10(JОМG)の輸出が止まったが、紙製容器を含めた雑誌・雑がみの需給は予想に反してタイト感がある。国内での発生が減ったり、段ボール古紙と抱き合わせによる輸出量が増えたりと、比較的バランスしているからだ。
落札業者は①山室が2781トンとトップが定位置。②宮崎が2597トン。③丸富も山室のグループ会社で2139トン。④新井商店が1962トンで、この数年は落札実績がなく、17年以来4年ぶり。
PETボトルだけは半期ごと年2回の入札だ。21年上期の平均単価は、有償でトンあたり▲7923円だった。20年上期の▲4万3418円に比べると下がったが、20年下期の▲1760円に比べれば上昇したといえる。紙製容器は逆有償に転じたのに対し、PETは有償を維持し、有価での価格も回復した。
契約数量は12万5291トンで前年上期より5190トン多い。PETの発生は夏場にピークを迎えるため、上期と下期の数量は概ね55:45。下期の数量は未定だが、通年でも最多を更新しそうだ。
PETの落札価格は地域間、再生事業者間で格差がある。20年下期より縮まったとはいえ、歪な市場といえる。例えば地域別でみると、平均単価で有償なのが東北、関東、中部、中四国。それぞれトンあたり▲8911円、▲1万9118円、▲1万8408円、▲1826円で、原料として関東が最も高い。一方、逆有償だったのが北海道、近畿、九州・沖縄である。平均価格は1万0186円、1万1255円、9883円だ。処理委託費として近畿が最も高い。おおむね東高西低で、関東と近畿の差は3万0373円。前者は有価の原料として購入、後者は処理委託量をもらい引き取るという地域によって価値が反転する市場となっている。
再生事業者で平均落札単価が有償だったのが、ジャパンテックの▲2万7867円、遠東石塚グリーンペットの▲3万8520円、エフピコの▲1万3138円。対照的にウツミリサイクルシステムズが逆有償の2万5450円だった。前者は関東でボトルやトレイといった製品の生産まで手掛ける再生業者で、まとまった量を有価で確保に動いている。
有価の仕入れが定着する関東であっても、再生事業者はより高品質なものを求める傾向がある。横浜市の2地区における計3524トンが入札不調に終わり、指名競争入札による再入札を実施した。数千トン規模の再入札が実施されるのは異例。同地区の品質評価はガラス瓶やその他夾雑物の混入でB評価だったことも影響したもよう。
トンあたりの処理委託単価が4208円も上昇したのがプラ製容器包装だ。落札数量も67万6035トンと前年度より1万1960トン増えた。今年3月にはプラスチック資源循環促進法案が閣議決定された。2~3年後を目処に容リルートで製品プラスチックが一括回収される。数量は2割前後増えるとみられるが、処理・再生の難易度も高まり、容リプラの落札価格も高まるのではないか。ただ、再生事業者の登録者数の減少傾向で、今年度も39社で前年度より1社減った。量が増えるが品質が劣化も予想され、再生事業者の収益性の確保や新規参入も課題となっている。
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