2022年4月2日 PJコラム 

コラム

 最近、取材先の関係者の口からこぼれるのが、世間から既存のリサイクル手法が猜疑心の目で見られうるという懸念だ。「脱炭素」からみたときにRPF(固形燃料)化を通じた熱回収という手法は、「燃やす」のでCO2排出は避けられない。「水平リサイクル」からみたときにPETボトルの繊維向け・シート向けの用途は「ダウンリサイクル」になってしまう。台頭するケミカルリサイクルやボトルtoボトルの手法が、素材の循環という意味では優れているので、従来のリサイクルが否定されかねないわけだ。素材の寿命を延ばし、新たな原料投入を抑えられる利点があることは間違いない。ただ、新たなリサイクル手法はエネルギーとコストが余分にかかることにも留意しなければいけない。

 マーケティングで「意味のイノベーション」という考え方がある。消費者がモノを購入する際、機能のような有用面だけでなく、デザインやブランドといった価値や意味も含めて判断する。そこにエコという環境に優しいかどうかという意味も含まれる。意味のイノベーションとは、新たな意味付けをすることで、需要を喚起しようとするものだ。「水平リサイクル」への傾倒は、意味のイノベーションとして消費者に響いたとしても、本当に環境負荷が低いのかは別の問題。従来のリサイクル手法とLCAを用いて慎重に検証すべきである。リサイクルに投入するコストも無限ではない。再生素材としてコストはどこまで許容されるのか、収集や中間処理の過程でどこまでコストをかけるのか。最終的に商品価格に転嫁され、無制限に税金が投入されても、環境負荷が変わらなかったというのでは、誰が得するのか分からない。

週間アクセスランキング

PJコラム »

Top