最近、取材先の関係者の口からこぼれるのが、世間から既存のリサイクル手法が猜疑心の目で見られうるという懸念だ。「脱炭素」からみたときにRPF(固形燃料)化を通じた熱回収という手法は、「燃やす」のでCO2排出は避けられない。「水平リサイクル」からみたときにPETボトルの繊維向け・シート向けの用途は「ダウンリサイクル」になってしまう。台頭するケミカルリサイクルやボトルtoボトルの手法が、素材の循環という意味では優れているので、従来のリサイクルが否定されかねないわけだ。素材の寿命を延ばし、新たな原料投入を抑えられる利点があることは間違いない。ただ、新たなリサイクル手法はエネルギーとコストが余分にかかることにも留意しなければいけない。
マーケティングで「意味のイノベーション」という考え方がある。消費者がモノを購入する際、機能のような有用面だけでなく、デザインやブランドといった価値や意味も含めて判断する。そこにエコという環境に優しいかどうかという意味も含まれる。意味のイノベーションとは、新たな意味付けをすることで、需要を喚起しようとするものだ。「水平リサイクル」への傾倒は、意味のイノベーションとして消費者に響いたとしても、本当に環境負荷が低いのかは別の問題。従来のリサイクル手法とLCAを用いて慎重に検証すべきである。リサイクルに投入するコストも無限ではない。再生素材としてコストはどこまで許容されるのか、収集や中間処理の過程でどこまでコストをかけるのか。最終的に商品価格に転嫁され、無制限に税金が投入されても、環境負荷が変わらなかったというのでは、誰が得するのか分からない。
2022年05月16日【プラ新法動向②~東京23区の一括回収~】
港区・千代田区で一括回収先行、今年度より2区開始
コロナでプラ収集量7%増、交付金要件で検討急務に
2022年05月14日【廃プラ固形燃料】
RPFの調達価格が上昇
製紙メーカー中心に広がる
2022年05月14日【OECD世界廃プラ調査】
世界の廃プラ3億5300万㌧、うち40%が包装用
処理の半分は埋め立て、リサイクル率は15.6%に
2022年03月12日【PETボトル 22年上期入札】
遠東石塚が約4割を落札、最高値は-89円/kg
二大飲料メーカーによる代理戦争の様相も
2022年04月30日《容リプラ+製品プラの一括回収》
【渋谷区】7月から区内全域で先行開始
容リ未収集から段階的にエリア拡大【北区】
2022年05月21日 コラム
2000年代前半から持ち去り行為が社会問題として取り上げられるようになった。持ち去りとは、主に自治体が行う資源[...]
2022年05月14日 コラム
公益社団法人全国産業資源循環連合会が発行する月刊誌『INDUST』で、「サンパイ女子募集!」のお知らせに目が留[...]
2022年05月01日 コラム
東北を訪れる機会があった。現地の人と話していると、知床観光船の遭難事故はコロナ禍と地続きだという。つまりこの2[...]
2022年04月22日 コラム
夏季になる前にエアコンを買い替えようと家電量販店に行った。壁一面に展示されたエアコンの室内機は、遠目に見ればど[...]