現時点で、PET(ポリエチレンテレフタート)がプラスチックの中で最もサステナブルな素材といえるだろう。用途の代表格であるPETボトルは、単一品種での分別収集が浸透したことでリサイクルに適する。縮重合反応を通じてIV値と重合値を回復させれば、何度でも再生ができる。FDA(米食品衛生局)が求める汚染物質の残留・溶出の基準もクリアしており、食品用途での利用が可能となっている。
PETの再生処理設備は今年以降、計40万トンの新設が予定されている。従来のリサイクラーだけでなく、大手商社が乗り出し、欧州系の廃棄物処理業者も参入を表明。64万トンだった市場に設備が大幅に増えることで、PET原料の奪い合いが過熱味を帯びる。シート、繊維、ボトルtoボトルというリサイクルの3大用途の間で移行も起きるとみられるが、単純に需給ギャップは20万トンに達する。
このギャップを解消するのは3つの選択肢しかない。①廃PETの輸出分を国内市場に取り込む、②廃PETを海外から輸入する、③他素材の容器をPETに替える、である。①は2021年にも16万トン強の輸出量があった。これは国内還流する方向に進むだろう。②は現実味も帯びるが、バーゼル規制と品質の担保が課題となってくる。③は、例えば80万トンある食品トレーの市場ではPET 比率は少なく、PP、PE、PVCが混在。また730億本ある飲料容器でもPETボトルは3割強に過ぎず、紙パックや缶、ビンとシェアを分ける。今後、どこまでPET素材にモノマテリアル化を進められるかがカギになる。
2024年04月22日【容リプラ・製品プラ】一括回収が89自治体まで増えるも、落札量は微減再商品化計画への移行や容リルートからの離脱で
2024年04月22日【プラスチック汚染対策条約】第4回会合(INC-4)がカナダ・オタワで開催生産削減で合意できるか?日本の主張にも注目
2023年01月23日【東京23区】全区でプラスチック脱焼却へ、プラ新法後押し 一括回収のモデル実施、残す3区でも検討進む
2024年04月22日【サムズ】使用済み紙おむつリサイクル普及拡大目指す栗田工業との協業とさらなる研究開発推進
2024年04月22日【イワフチ】容リ法施行前の1995年からPETフレークの生産を開始九州におけるPETボトルの扱いシェアは6~8%「容リ法によるPETボトルの役割は終わったのではないか」(岩渕社長)
2024年04月22日 コラム
紳士服・スーツ販売「洋服の青山」の青山商事が牡蠣の貝殻を使った素材「SEA WOOL(シーウール)」のスーツを[...]
2024年04月15日 コラム
ファーストペンギンという言葉がある。常に集団で行動するペンギンの中で、天敵がいるかもしれない海に向かって、真っ[...]
2024年04月08日 コラム
紅麹を含むサプリメントが健康被害を引き起こし、騒動となっている。この「機能性表示食品」というのは、2015年に[...]
2024年03月25日 コラム
先日、直富商事(本社・長野市)が新設した第三工場を取材した。混合廃棄物の中間処理施設で、この分野では日本で初め[...]