プラスチックリサイクルにおいて、マスバランス方式(物質収支方式)という考え方がある。原料から製品への加工を行う際、ある特性をもつ原料を一部の製品群に割り当てるというものだ。マスバランス方式は、カカオ、紙、電力などでも用いられてきた。例えば、原料に再生プラを5%配合したとき、その配合率は5%とみるのが一般的であるが、マスバランス方式では、製品の5%だけ再生プラが100%配合とみなせば、あとの95%は0%と置き換えられるのである。製造メーカーにとって、既存設備を利用しながら高配合の製品を造れるので、環境配慮製品を魅力的にみせることや、物性の劣化を補えたり合理的な価格戦略を取れたりするメリットがある。ただし、数字上の操作であるので、いかに第三者などによる認証で担保するかがポイントだ。
ところで、プラ製の容器や製品を扱う企業が、自らが販売したプラスチックを循環できないか、あれこれ模索している。クローズドリサイクルがいわばブームと化しているのだ。PETボトルを除けば、現実的に多くは水平リサイクルが難しいのだが、再生ペレットを使って関連製品に変えられるかが勝負どころのようだ。しかし、リサイクル業者にとってみれば、クローズドリサイクルは実はあまり面白みのない商売。回収量は少量であり、それだけを選別・加工・保管するにはコストがかかり過ぎるからだ。他の有価プラや再生資源の取引も請け負って、その一部をクローズドでやることで、なんとか採算が合うという。収集事業者やリサイクル業者にとっても、マスバランス方式による委託が求められているのかも知れない。
2025年05月19日【岐阜県輪之内町】町で回収の容リプラ使った指定ごみ袋を導入へ小規模自治体が挑む地域循環モデルとして注目
2025年05月19日【リサイクルテック ジャパン展示会レポート】再生PETからアクリルまで技術で変える資源循環専門カンファレンスも同時開催、SusPlaなど事例報告
2025年01月14日【プラニック】 ヴェオリアが昨年12月に撤退し、豊田通商が株式承継本格稼働からわずか2年、採算や品質改善でもハードル
2025年02月25日【ELV規則案を改定】 再生材の利用率基準を緩和、開始時期は前倒し欧州のリサイクル業界団体らは修正案に反発
2023年01月23日【東京23区】全区でプラスチック脱焼却へ、プラ新法後押し 一括回収のモデル実施、残す3区でも検討進む
2025年05月19日 コラム
消費生活センターに時折、こんな質問が寄せられるという。「化学繊維アレルギーがあるため綿100%の天然素材の衣類[...]
2025年05月09日 コラム
今国会では、資源有効利用促進法の一部改正案が審議されている。注目されるのは、「再生材の利用義務化」に関する規定[...]
2025年04月30日 コラム
長いこと焦がれて、数年前のその日、やっとそれを目の当たりにすることが叶った。それとは、世界に3つしかないといわ[...]
2025年04月21日 コラム
先日、長崎県の離島・対馬を初めて訪れた。複雑なリアス式海岸と対馬海流が交わる地理的条件のため、大陸から流れ出た[...]