2023年6月23日 PJコラム 

【コラム】歴史と現場が物語る海洋プラスチック

PJコラム

 元寇(げんこう)は、日本の鎌倉時代中期に、モンゴル帝国(元)の2度にわたる日本侵攻で、蒙古襲来とも呼ばれる。1度目は文永の役、2度目が弘安の役。2度目の弘安の役で日本へ派遣された艦隊は、当時世界最大規模の艦隊であり、兵数は15万人と言われている。日本軍の決死の抵抗と共に、2回とも神風(台風)による大打撃で敵は四散五裂した。この時の結果次第では、その後の歴史が大きく変わっていただろう。

▼その元軍の最初の侵攻地となった対馬は、現在、日本で最も海洋ごみが流れ着く場所となっている。当時と同じように、まさに日本の壁となっているのだ。対馬列島は東シナ海から流れてくる対馬海流と、韓国・中国から流れてくるリマン海流が交わる場所であり、特に海ごみが流れ着きやすい立地となっている。

▼対馬の2021年の海洋ごみ量は年間6913トン。容量では87立米。容量ベースでは、海洋ごみ量のうち67%がプラ類となっている。プラごみで多いのは①その他プラ(容器等)=14立米、②パレット・加工木=13.5立米、③発泡スチロール=12.5立米。これ以外にも、漁網・ロープ=7.8立米、PETボトル=5.9立米、漁業用ブイ=4.5立米。いかに海がプラごみで覆われているかが分かる。

▼先日、大阪の海遊館(水族館)が主催する「大阪の海ごみを知ろう」イベントに参加した。UNEP(国連環境部)の本多氏のレクチャーから始まり、実際にすぐ裏にある大阪湾にどんなごみがどれだけ落ちているかを見に行った。大阪湾で打ち上げられた海ごみを職員が拾っていったが、わずか30分の間にPETボトルは300本に達した。他には大型の椅子やケース、発泡スチロール、弁当容器、缶などが目立った。

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