2024年9月9日

【2024年度下期 PETボトル入札結果】
上期より35円上昇し、落札単価-84.5円/kgに
協栄産業グループが巻き返し、東西格差薄まる

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 公益財団法人日本容器包装リサイクル協会が実施するリサイクル事業で、2024年度(令和6年度)下期のPETボトルの落札結果の詳細が発表された。平均落札単価は、-84.5円/kgと上期よりさらに35円/kg上昇した(容リ入札は逆有償が前提なので、有償取引はマイナス表示となる。便宜上、有価物の有償価格とみなし、高低の表現で記す)。-100円/kg以上の落札量も全体の31%を占め、大手リサイクラー間での調達競争が再燃している。特に24年度下期は、協栄産業グループの3社で計2万5千トンを落札し、全体平均単価を押し上げた。

 2024年下期に入札されたPETボトルは、自治体などの指定保管施設718ヵ所に集められた計8万2794トン。前年下期に比べて、指定保管施設は79ヵ所減、数量にして8235トン減った。24年度の通年でみた数量は、計18万4902トンで、前年度より9.1%減、数量でみて1万8553トン減った。下期の冬場はPETボトルの非発生期なので、上期よりも2割前後少なくなる。

 自治体の独自ルートへの移行で、容リルートを通じたリサイクル量は年々減る傾向がある。年度別に増減した量をみていくと、2020年度=9323トン増、2021年度=9010トン増、2022年度=1万3028トン減、2023年度=1万1205トン減。その多くは容リルートから外れ、独自ルートへの移行したためである。

 23年10月に公表された公取委によるPETボトル市場の調査報告書で、容リルートが自由な競争を妨げてはならないと指摘。その結果、独自ルートへの移行がますます加速している。24年度からは東京都墨田区、調布市、三鷹市などが独自ルートに移行した。一方で、横浜市のように、独自ルートには切り替えないと明言している自治体もある。

上期から巻き返しで数量確保

 下期の落札業者数は33社で上期と同数。前年同期では1社減った。落札量の大きい順にみると、①遠東石塚グリーンペット、②ジャパンテック、③協栄J&T環境、④エフピコ、⑤北海道ペットボトルリサイクルとなっている。

 遠東石塚グリーンペットは、上期で6万4514トンで全体の63.2%を落札したが、下期では2万3701トンでシェアは28.6%に留まった。下期に巻き返したのが、協栄産業グループである。同社グループは、ジャパンテック、協栄J&T環境、東京ペットボトルリサイクルの3社がある。これらの落札量を合わせると計2万5132トンに上り、全体の30.4%を占めた。また、エフピコ、ウツミリサイクルシステムズ、正和クリーンも上期の落札量は1千トンに満たなかったが、下期は挽回し、それぞれ4991トン、2364トン、2305トンずつを落札した。

 1000トン以上を落札した17社で、落札平均単価の高い順でみると、①J&T環境が-103.0円/kg、②協栄J&T環境が-101.7円/kg、③エフピコが-100.7円/kg、④東京ペットボトルリサイクルが-100.7円/kg、⑤有価物回収協業組合石坂グループが-94.4円/kg、⑥ジャパンテックが-94.0円/kg、⑦正和クリーンが-91.2円/kg、⑧アース・グリーン・マネジメントが-89.3円/kg、⑨ウツミリサイクルシステムズが-88.5円/kg、⑩遠東石塚グリーンペットが-85.2円/kgだった。この上位10社までが、平均単価の-84.5円/kgを上回った。上位①~④が2.3円/kg差の狭い価格レンジに収まったことも異例といえるだろう。

 また、遠東石塚グリーンペットは最多量を落札しながらも、落札平均価格でみると10番目で、全体平均並みだった。協栄産業グループと遠東石塚グリーンペットの落札価格の差は、13.6円/kgにも拡がっている。

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