サフ(SAF=持続可能な航空燃料)という柔らかな語感もあって、緩やかな策で航空業界に働きかけるのかと思っていたら、2030年までに10%義務付けが意外にあっさり決まって驚いた。国際線で使用する航空燃料の10%をSAFに置き換えるため、今年度中にもエネルギー供給構造高度化法の政令を改正し、石油元売りの販売において義務化するのだという。欧米の政策的なトレンドや海外エアラインのコミットメント(目標設定)が後押しし、日本の航空業界も看過できなくなったというわけだ。
▼同じ構図は、石油化学業界や各製造業の再生プラの利用にもあてはまる。欧州のELV規制の改定は、欧州市場に年間40万台弱輸出する日本の自動車業界も大きな変革を迫られる。ヤリスやカローラといった欧州での人気車種に、いかに25%もの再生プラを配合するのか。廃車由来の比率引き上げも必要で、リサイクル技術やコスト負担のあり方も見直していかなければならない。9月に政府が立ち上げる産官学サーキュラーエコノミーパートナーシップで、こうした再生プラの利用義務化の議論が出てくるのか注目される。
▼SAFとプラ再生材に共通する課題が、原料の安定的確保である。2030年にSAFは国内で171万kLの需要が生まれ、再生プラも欧州全体の自動車向けで76万トンの新規需要が見込まれる。既存の業界やリサイクルルートとの競合は避けられず、奪い合いが起きる。再生コストの上昇にも繫がるだろう。これは廃棄物が生産物ではなく、発生物であることに由来する。とはいえ廃棄量を増やすため、余計にプラ製品を使うよう促すのであれば、それこそ本末転倒であり、悩ましい。
2024年12月02日【CFPグループ】独自開発した油化装置でケミカルリサイクルの商業生産に成功ISCC PLUS認証付き廃プラスチック分解油を供給し、国内2拠点を新設予定
2024年09月09日【2024年度下期 PETボトル入札結果】上期より35円上昇し、落札単価-84.5円/kgに協栄産業グループが巻き返し、東西格差薄まる
2024年12月02日【ケミカルリサイクルの最新動向】新規設備の手法(稼働時期、使用原料、原料調達ルート)と解説
2023年01月23日【東京23区】全区でプラスチック脱焼却へ、プラ新法後押し 一括回収のモデル実施、残す3区でも検討進む
2024年12月02日【静岡市】2028年度から一括回収と再商品化を実施へ、事業者を公募
2024年12月02日 コラム
プラスチックの原料となる化学物質には有害性を持つものも少なくない。そこで「化審法」という法律がそのリスクを評価[...]
2024年11月25日 コラム
都内日中の気温が20度を超える暖かさだった10月の日曜日、東京・練馬区で市民祭「練馬まつり」が開かれた。ステー[...]
2024年11月18日 コラム
東大阪市は大阪市の東に隣接した人口48万人の中核都市で、昔から「ものづくり」の街として有名である。市内には約5[...]
2024年10月28日 コラム
10月中旬にマレーシアを訪問した。古着のリユース事業において、マレーシアは今や世界で最も関係者から熱い視線を注[...]