2024年6月10日 PJコラム 

【コラム】迷走する香港のごみ有料化

PJコラム

 香港・尖沙咀(チムサーチョイ)にある九龍公園は、繁華街にありながら、喧騒とは別世界の安らぎをもたらす。早朝の園内には、ベンチに腰を下ろして新鮮な空気を楽しむ人、ゆっくり、ゆったりとしていながら、洗練された動きの太極拳を行う人たち、ピッカピカの剣のようなものを素早く振り回す剣舞の練習をする人もいる。公園を楽しむのは人だけではない。そこには、園内の鳥園「百鳥苑」の鳥だけでなく、熱帯植物を好む鳥も各種やってきているようだ。

 ▼そんな九龍公園に“美しい”と表現してもよさそうな、きれいなごみ箱がある。ステンレスで一体化されたその分別ごみ箱は、「廃紙」「PETボトル」「金属」「ごみ」とそれぞれ別の投入口が設けられている。東京・池袋のJR駅構内にある「リサイクルステーション」よりも色味を抑えた感じだが、投入口がある前面は色分けされ、写真のようにリアルな画像が貼付されているので、何を捨てるべきかが明確。資源利用するためか、荒らされたりしないようにするためか、個々の扉は鍵付き。PETボトルの収納部は他よりも容量が大きくなっている点、配慮されていていることがわかる。

 ▼香港では今年8月から一般家庭などから出されるごみの回収が有料化される予定だった。しかし特区政府は5月末、有料化計画を停止した。当初は4月の開始予定だった計画が延期され、今度は計画停止。市民の反対のほか、高層ビルやタワマンが乱立する香港での不動産管理業界の思惑など、様々な理由がありそう。それにしても、すでに市場に出回っている、有料化のための指定ごみ袋。これも回収することになるのか。

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