Shutterstock©
公益財団法人日本容器包装リサイクル協会(以下、容リ協会)が実施した調査によると、2024年度に製品プラの引渡しを予定している自治体は86に上ることが分かった。申込予定数量は計1万7959トンで、将来的に50万トンの掘り起こしを見込む中で、回収ペースは鈍い。集めれば集めるほどコスト負担がのしかかる自治体は、製品プラ回収の実施に慎重だとみられる。一方で再商品化事業者の能力不足も課題で、今年度から新たに参入したTBM(東京都千代田区)の横須賀工場では、横浜市から落札した約3000トンの容リプラを途中辞退した。
2022年4月に施行されたプラ新法では、自治体が「容リプラ+製品プラ」を一括回収し、既存の容リ協会ルートでリサイクルできる仕組みを設けた。今年度からこの入札制度が本格的に動き出し、35団体(49市町村)の自治体が一括回収を実施し、容リ協会に引き渡す。このうち、製品プラだけで6732トンの回収量を予定している。
容リ協会が今年6~7月に実施した、来年度の製品プラの引き渡しに関する意向調査によると、2024年度は86市町村で1万7959トンの製品プラの引渡しを見込む。製品プラ回収を行う自治体は倍近く増える見通しとはいえ、将来的に製品プラだけで50万トン集まる想定に比べると、実施する自治体はまだまだ少ない。
容リプラは特定事業者(製造事業者や小売業者など)がリサイクルコストを負担するが、製品プラは自治体が負担するスキームとなっている。またリサイクルルートが未整備な面も否めず、現時点では様子見といった自治体も少なくないようだ。
容リ協会による意向調査には、従来から実施している容リプラや、プラ新法33条にもとづく認定計画は含まれていない。これによると、都道府県別に多かったのが、①東京都の19市町村(区含む)、②長野県の12市町村、③愛知県の11市町村、④北海道の6市町村、⑤宮城県と群馬県の4市町村。製品プラの申込予定量でみると、①東京都の6283トン、②愛知県の5548トン、③京都府の1200トン、④埼玉県の917トン、⑤宮城県の710トンが続く。1つの市町村でも製品プラの回収を実施しない府県が20ある。
環境省が2021年6月に実施した「プラスチック分別回収に関する市区町村へのアンケート」調査では、867団体から回答を得て、約1割にあたる88市区町村が製品プラの回収を検討していると回答していた。そのうち、法施行後1年以内に検討すると答えたのが43市区町村。3年以内が29市区町村、5年以内が16市区町村だった。すでにこの自治体数が実施表明しているため、新規で増えてくるのかは未知数。現状の仕組みでは課題も多く、2025年度以降、製品プラの回収が頭打ちとなってくる可能性がある。
…
この記事は有料会員記事です
▼残りの51%を読むには、会員登録が必要です▼
この記事は有料サービスをご契約の方がご覧になれます。
契約されている方は、下記からログインを、
契約されていない方は1か月の無料トライアルからお試しいただけます。
2025年02月03日【日本プラスチック有効利用組合平野二十四理事長インタビュー】独自の複合再生技術と再生プラスチック製品を普及、プラ循環を導いた業界団体の新たな課題とは?
2023年01月23日【東京23区】全区でプラスチック脱焼却へ、プラ新法後押し 一括回収のモデル実施、残す3区でも検討進む
2025年01月14日【プラニック】 ヴェオリアが昨年12月に撤退し、豊田通商が株式承継本格稼働からわずか2年、採算や品質改善でもハードル
2025年01月27日【三井化学】廃プラ分解油をクラッカー投入、ケミカルリサイクル先行カーボンニュートラル構想を掲げ、原料転換を推進中
2024年09月09日【2024年度下期 PETボトル入札結果】上期より35円上昇し、落札単価-84.5円/kgに協栄産業グループが巻き返し、東西格差薄まる
2025年01月27日 コラム
第2期トランプ政権が始動した。20日の就任演説で「(石油・ガスを)掘って、掘って、掘りまくれ」と煽り、「グリー[...]
2025年01月20日 コラム
会社と自宅のどちらにも近くに生協があるので、食料品や飲料のほとんどは生協で購入している。また妻も母も週1回の宅[...]
2024年12月27日 コラム
米空軍のフライトジャケットに由来する MA-1 ジャケット。東京・神楽坂で3日間限定のポップアップストアで販売[...]
2024年12月23日 コラム
ひと昔前は、大手流通・小売企業が廃棄物や資源物で収益を得る発想はほとんどなかった。しかし今では、各店舗で出る資[...]